漢方コラム
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Vol.38 「お酒のお話」‐適量のお酒で楽しく、美味しく、健康的に!!
適量のお酒は食事をおいしく、また、食事の場を楽しくしてくれます。百薬の長とも言われ、昔から漢方薬でも用いることがあります。血行を良くし、体を温め、リラックス効果があります。
お酒の種類によっても効能が違います。例えばビールの原料は麦芽。漢方薬では麦芽は消化薬です。ビールを飲むと食が進むというのもうなずけますね。また、体にこもった熱をとる働きもあり、暑気払いにもなります。ただし、飲み過ぎはいけません。キンキンに冷えたビールを大量に胃に流し込むと、胃の機能を低下させてしまいます。赤ワインは「補血(ほけつ)」作用があり、血を補う働きや老化予防の効果があります。
しかし、お酒は少量では薬になりますが、飲みすぎは毒になります。アルコールは体内でアセトアルデヒドというものに分解されます。これは非常に毒性が強く、代謝しきれず残った場合、吐き気や頭痛などを引き起こします。
舌にべっとり苔のある方は飲みすぎ注意!
飲みすぎてしまった場合、お水をたくさん飲んで尿を出す方は多いでしょう。もう一つ重要なのは「酒毒を取る」こと。しじみは肝臓の解毒作用を助けてくれます。飲んだ翌朝はしじみのみそ汁などが良いでしょう。胃がムカムカする場合は梅干しや大根おろしなどを!!漢方薬では肝臓の解毒の働きを助けるものがあり、お酒を飲む前に飲んでおくとよいものや、二日酔いに効くものもあります。
注意したいのは、舌にべっとりと白い苔がはえている人。漢方では「痰湿(たんしつ)」タイプといい、水分代謝が悪く、体に老廃物がたまっています。胃腸が弱っていたり、お酒や甘いもの、脂っこいものをよく摂る方に多くみられます。このような人はお酒を控えた方が良いでしょう。漢方薬では虚湿剤という種類ものを用いて体にこもった湿気を取ります。