漢方コラム
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Vol.32 『産後の不調』−【大切な産後の養生 心と身体をゆっくり休めて】
出産してから、急に風邪をひきやすくなった、疲れやすい、めまいや動悸がする、髪が抜けやすくなった、頭痛、イライラ、不眠…などといった経験をされている方は多いはず。産後はホルモン分泌がなくなった分だけ、心身両面のトラブルが起こりやすくなります。この時期、身体の消耗を防ぎ、お産に伴う身体のダメージをゆっくりと回復させ、身体の休養に専念する必要があります。
母乳は「白い血液」とも言われます。母乳は血液から作られるため、母乳をあげている間は体調が悪い方も多くみられます。その間生理がないのは体を守るためのしくみです。妊娠出産により血の不足がみられると母乳が充分に生成されなくなります。
母乳の出が悪い方は、原料である血液を補う必要があり、食べ物では根菜類、かぼちゃの種、黒米、黒豆、黒ゴマなどの黒い食材、ひじき、ホウレンソウ、なつめ、干しぶどう、くこの実、タンポポ茶などがお勧め。タンポポの根は「蒲公英根(ほこうえいこん)」といい、漢方生薬です。産後の気血不足の症状には、当帰(とうき)などの生薬が配合された漢方薬がよく用いられます。
漢方薬は元々薬草や食材などをスープにしたものでした。中国では出産したら産後1か月は外出しないで、母親が養生スープを作って飲ませてくれて、冷たいものや生ものは控え、身体は絶対に冷やさないようにとしっかりと養生し身体を回復させます。産後の養生がきっちりできていないと第2子不妊にも繋がりますので、無理をせずにしっかりと養生して下さいね。