漢方コラム
◀
119/313
▶
Vol.196 『冷えのぼせ』が起こるしくみとなかなか治らないワケ
以前、やたらと氷を食べたくなる「氷食症」について書いたところ、「まさに私のことです!」と予想以上の反響がありました。氷食症のベースには鉄分不足があることが多いのですが、必ずしも血液検査で貧血と出るとは限りません。立ちくらみ、爪が割れやすい、髪がぬけやすくパサつきやすい、生理の血が少ない、寝つきが悪く夢を多く見る―などの症状は血が足りない血虚(けっきょ)の状態です。血が足りないと冷えやすく、下が冷えて上が熱い『冷えのぼせ』の状態に陥りやすくなります。
空気も水も冷たいと下へ、温かいと上へいく性質がありますね。そのため、部屋の空気は循環させるし、古いお風呂はかき混ぜて温度を均一にしていました。人間の体も同様で、循環が悪いと下半身が冷たく、上半身は熱いので口が渇き、氷をバリバリ食べると気持ち良いのです。すると胃腸が冷え、下半身の血流が 悪くなります。そしてますます上半身がのぼせます。
通常の冷え性よりも「冷えのぼせ」のほうが積極的に冷えを助長させてしまうところが怖い点です。この悪循環を解消するためには、体の中もかき混ぜてあげなくてはいけません。
血液循環が良くない瘀血(おけつ)体質の人は特に冷えのぼせが起こります。人間の体は頭寒足熱の状態がベストなため、下は厚着・上は薄着で過ごすことや、運動で下半身を動かすことも良いでしょう。根本的には内臓機能を整えて血を作り、巡りを良くする体作りをすることが体質改善となります。