漢方コラム
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Vol.48 『胃下垂』は脾弱(ひよわ)の原因…胃腸が弱いと元気が出ない
胃下垂とは、胃が正常な位置よりも下がっている状態で、日本人に多いと言われています。胃下垂は体質的なもので、病気ではありません。しかし、胃下垂が進んで「胃アトニ―」になると胃腸がうまく働かないため、食べたものがいつまでも胃に残っていて▼胸やけ、▼もたれ、▼ゲップ、▼膨満感、▼便秘などを生じます。
《燃費が良い体・悪い体 内臓キープ力が弱い》
胃下垂の方は食べても比較的太りにくく、好都合と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、いくら食べても太らないということは、燃費が悪い体〞ということになります。少量の食事で気血を作り出すことができるのが良い体〞です。
胃腸から取りこまれた食事がきちんと消化吸収されることで血液が作られますが、胃腸が弱いとこれらの働きも充分に行えず、貧血気味になります。
また、胃下垂の方は内臓をキープする力が弱いので、そのうちに▼脱肛、▼遊走腎、▼子宮脱、▼流産なども引き起こしやすくなります。
漢方では消化器系のことを「脾(ひ)」といいます。体が弱いことをよく「脾弱(ひよわ)」といいますが、胃腸が弱いと元気が出ないからです。▼疲れやすく、▼体力がない、▼筋肉がつきにくい、▼便秘や下痢をしやすい−などがみられます。漢方薬では補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がよく使われますが、柴胡(サイコ)と昇麻(ショウマ)という生薬が内臓を引き上げ、人参などが胃腸の働きを高めてくれます。