漢方コラム
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Vol.156 春には「菊花(きくか)」!目にもよく頭をクールダウン
この時期によい生薬のひとつに「菊花(きくか)」があります。
菊花は菊の花です。中国では昔から春になると養生茶のひとつとして菊花茶が飲まれ、日本でも菊花酒として飲まれてきた歴史があります。漢方で用いる菊花には大きく分けて野菊花と抗菊花があります。野菊花は、清熱解毒の働きがあり、金銀花(スイカズラ)や蒲公英根(タンポポ)などと一緒に皮膚毒をとる働きをするため、皮膚病によく用いられます。抗菊花は疏散風熱、平肝明目の働きを持ち、春に養生茶として飲むとよいのはこの抗菊花のほうです。すっきりとした清涼感のある菊の香りに、甘味と少しの苦味があります。
春は五行説では「肝」のトラブルが多くみられます。東洋医学でいう肝は肝臓のみならず、自律神経系、精神情緒、目などとの関係が深く、抗菊花は、主に、肝熱タイプと言い、目の充血、頭痛、めまい、イライラ、ホットフラッシュなどによいです。肝気が上昇することによる頭のほうの上部の熱症状をクールダウンさせてくれる働きがあります。忙しくて頭がヒートアップしている時の頭痛やイライラなどの時にもよいですし、目にとてもよい生薬なので、目の充血や花粉症による目の痒みにもおすすめです。
当店では、菊花のエキス剤と粉末が配合されたものがありますが、それをそのまま、またはお湯に溶かすなどして目のかゆい時に飲むと調子がよいということでこの時期には非常に人気があります。元々菊花とクコの実は目の疲れや目のトラブルがある方にはとても良い生薬で、目の疲れ、目のかすみ、視力低下など、目のトラブルによい代表的な漢方薬「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」の主薬になっているのがこの二つの生薬です。