漢方コラム
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Vol.49 パソコンによる目の疲れ
《パソコンによる目の疲れにはご用心》
「TVを近くで見ると目が悪くなる」「長時間パソコンを使うと目が疲れる」というように、現代の暮らしの中では目のトラブルの原因となるものがたくさんあります。漢方では、目の健康を脅かす、最も危険な因子は「熱」であると考えます。
「足熱頭寒(そくねつずかん)」の言葉通り、足を温め、頭部を冷やすことが健康的だとされています。目は熱を嫌い、目に熱がこもると「目やに」が出たりします。ウイルスや細菌による「結膜炎」「角膜炎」「ものもらい」などの炎症も熱の病邪(びょうじゃ:病気の原因となるもの)です。
以前このコラムで、目は「肝」と関係が深いとお話しましたが、ストレスも「肝」と関係が深いのです。つまり、ストレスを受け続けることで、肝がヒートアップし、これを「肝熱」といいますが、血圧が上がったり、緑内障や網膜炎などにつながることもあります。
天然の生薬には、この肝熱を冷ます働きがあるものがいくつもあります。代表的なものは「菊の花」です。菊の花には血圧降下作用や、コレステロールを減らすことがわかっています。目に良いとされる有名な漢方薬に「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」がありますが、菊の花と枸杞(くこ)の実が主薬です。他にも、熊丹(ゆうたん)など動物の胆のうや真珠、決明子(けつめいし:エビスグサの種子)などがあります。アワビの貝殻は石決明(せっけつめい)といい、視力減退に有効です。